ここにいるのは、崩れきった者たち。もう、なにも覚えていない。
剣を持つ骨。王冠をかぶるスライム。かたちが、なにかを思い出しはじめる。
人のかたちをした番人が道をふさぐ。「この先へ行けば、知らなくていいことを知る」
言葉を話す者が増える。彼らは敵ではない。忘れさせようとしているだけだ。
崩れたビル。灯りの消えた信号機。ここは、わたしたちの街だったところ。
配合は血を濃くする。そのぶん、躰は先に朽ちる。
この街も、同じように代を重ねただけだ。














底には「最初の一人」がいる。そう噂されている。
だが、そこへ辿り着いた者は、まだ一人もいない。
誰よりも深くへ潜った冒険者たちは、うわごとのように、同じ話をする。
——黒い炎を、見た。
それが何なのかは、わからない。
ただ——扉のように、立っていたという。
なにかが、底を守っている。
あるいは、誰かを。
冒険者よ、思い出せ。 塔の底で、「最初の一人」が待っている。
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